長妻昭厚生労働相は13日午後の記者会見で、子ども手当の必要財源を全
額国費負担とした場合、宙に浮く形となる現行の児童手当の地方自治体負
担分について「子育ての周辺や中核の施設などの支援に使う手法を検討し
ている」と、保育環境の整備などに充当する検討方針を明らかにした。現
行制度では事業主が負担している拠出金も、保育環境整備へ充てたい考え
だ。長妻氏はまた、年5・3兆円の子ども手当の財源について「厚労省
中では国費という議論だが、外部有識者からはいろいろな意見がある」と
述べ、現行の児童手当制度のように地方自治体や事業主にも負担を求める
可能性を示唆した。現行の児童手当制度では、給付総額(21年度予算で
1兆160億円)のうち、国が約4分の1(2690億円)、都道府県と
市町村が5割強(5680億円)を折半、事業主が2割弱(1790億円)
を、それぞれ拠出している。

 

子ども手当の財源を何処から確保するか、衆院選の際にも散々指摘された
ことだったが、民主党は無駄を無くすことで財源など確保出来ると言うば
かりであった。そのため、年5.3兆円の巨費は全額国費で賄うものと誰
もが思っていたであろうし、民主党もそのつもりだっただろう。だが、こ
こにきて子ども手当の財源を全額国費で賄うのでは無く、地方自治体や企
業に一部負担してもらおうとの意見が出てきている。子ども手当の支給に
より廃止される児童手当は、21年度の約1兆円の給付総額に対して、約
4分の3を地方自治体と企業で賄っている。子ども手当は所得制限なく給
付されるため、当然の如く地方自治体や企業が賄う金額は児童手当の数倍
に膨らむことになるだろう。足りなければ、他のところから埋め合わせて
カバーする、正に数字ありきの帳尻合わせではないか。負担額が現行通り
なら議論の余地もあるだろうが、国費負担分がどれだけの規模になるか。
まずはそれを示さないことには話にならないだろう。