各省庁による2010年度予算の概算要求再提出が15日、締め切りを迎
えた。要求額は09年度一般会計当初予算を大幅に上回る90兆円台前半
に達し、過去最大となる見通しだ。独自色を出すため、民主党がマニフェ
ストで掲げた施策7兆1000億円を優先的に上積みしたものの、既存予
算の削減は進まなかった。税収減で赤字国債増発への懸念が高まる中、予
算編成作業は例年より1カ月半遅れて本格化する。鳩山由紀夫首相は各省
庁に対し、09年度当初予算比で減額要求するよう求めていた。しかし、
減額は公共事業費を8000億円超削減する国土交通省や、麻生政権が創
設した「経済緊急対応予備費」の要求を見送る財務省にとどまる見通しだ。

 

大幅な税収減が見込まれる中、赤字国債を増発してでも民主党が掲げたマ
ニフェストを実行しようとする姿は、単なる帳尻合わせにしか写らない。
子ども手当ての財源である配偶者控除は、来年の参院選を前にして廃止す
ることは増税と受け止められかねない、そんな選挙対策の理由から先送り
されるような始末である。特に増額が目立つのは厚生労働省で、年金記録
問題への対応や少子高齢化に伴う社会保障費の自然増約1兆円もあり、自
公政権以上の予算積み増しをよぎなくされている。本来、民主党が実行し
ようとした政策は、無駄を削減して捻出した財源をもって充てられると主
張し、その根拠を示せと自民党公明党に批判されていた。無駄を探すの
がいつから本格化するのか分からないまま、巨額の予算が編成されて突き
進むことになる。景気の回復が本格化するのは、いつになるかも分からず
文字通り暗中模索の政権運営となるだろう。