長妻昭厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で、15日夜の2010年
度予算概算要求に関する記者会見に出席しなかったことについて「事務方
とわれわれとの連絡が不十分だった」と弁明した。同省広報室は15日夜、
概算要求の再提出を受けて長妻厚労相の記者会見を設定していた。ところ
が、同相は外出先からそのまま帰宅し、会見は長浜博行副大臣が行った。
同相は「これまで概算要求で走り回っていた長浜副大臣に会見をしていた
だこうという話になった」と他意がないことを強調。報道陣から逃げ回っ
ているとの一部週刊誌の報道を自ら持ち出して否定し、「わたしどもと広
報の連携をきちっと密にしたい」と反省の弁を述べた。 

 

2年前の参院選民主党に大勝をもたらしたのは、長妻氏が重いベールに
包まれていた年金問題を国会で取り上げたことが大きい。長妻氏はこれ以
降、ミスター年金の異名をとり、政権交代が実現したことによって、年金
を所管する厚生労働相に就任することとなった。国民的な人気も高く、活
躍が期待される閣僚の一人であったはずだが、厚生労働省は年金だけで無
く、医療や雇用など、カバーする範囲が広く、年金以外の分野は素人同然
と懸念されているようだ。自民党が年金以外の部分を衝いてきた際に、政
治主導を掲げる民主党は長妻氏が答弁せざるを得ないだろう。そこでしど
ろもどろになる、見当違いな答弁をする、そんな事態になればミスター年
金の名に大きく傷が付く。今回、記者会見に出席しなかったのは、単なる
行き違いとの説明ではあったが、無用な誤解を招くような行動は大臣であ
る以上、気を付けるべきだろう。年金担当の特命大臣なら、最初から十分
な活動が出来ただろうが、他のことはこれから勉強するでは、喫緊の課題
である新型インフルエンザへの対策は間に合うまい。