仙谷由人行政刷新担当相は18日、テレビ朝日の番組に出演し、概算要求
で過去最大の95兆380億円に膨らんだ2010年度一般会計予算につ
いて、「できたら92兆円くらいで収めたい」と述べ、今後の査定で少な
くとも3兆円以上削減する意向を明らかにした。国債増発による財政悪化
が懸念される中、麻生前政権が8月末にまとめた概算要求額(約92兆1
300億円)以下を目指す考えとみられる。これに関連し鳩山由紀夫首相
も同日、都内で記者団に「決めている話ではないが、できるだけ抑えなけ
ればいけない。さらに減らせる努力をしたい」と語り、予算の膨張抑制に
意欲を示した。

 

税収減を考えれば、もはや赤字国債増発は不可避の情勢であるが、鳩山首
相は「無利子国債」の発行に関心を示しているとの報道が出てきた。無利
国債は利子をつけない代わりに、購入者の相続税を免除する国債なのだ
が、相続税を考えなくてはならないのは、いわゆる富裕層のみであり、一
般の国民にとっては関係の無い話である。国民の生活が第一、そんなフレ
ーズを掲げて選挙を戦ってきた民主党にとって、富裕層を優遇するような
真似をすれば、その信頼は一気に失墜するだろう。概算要求時点で95兆
円を超える巨額の予算を、どう絞り込んでいくのかは民主党の仕事のはず
だが、3兆円程度絞るだけで足りる話なのかは大いに疑問だ。民主党のマ
ニフェストを実行するために、国債を増発するのは本末転倒であり、誰も
借金を増やしてまで、実行して欲しいとは思っていないだろう。