自民党谷垣禎一総裁は19日、秋季例大祭が行われている東京・九段の
靖国神社を参拝した。参拝の理由について「この前の戦争に限らず、日本
の近代史の中で亡くなった方の霊を慰める気持ちだ」と述べた。また、鳩
山由紀夫首相が意欲を示す国立追悼施設の建設には「『戦死したら靖国
まつられるんだ』と思って亡くなった方がたくさんいる。その重みはある
」と反対の考えを示した。自民党総裁靖国参拝は平成18年8月の小泉
純一郎首相以来3年2カ月ぶり。谷垣氏は同年9月の総裁選では首相に就
任した場合は参拝を自粛すると表明していた。

 

民主党靖国神社に代わる国立追悼施設の建設を目指している中で、それ
に対して自民党が出せるカードは、靖国神社が唯一の追悼施設であること
を示すことである。谷垣総裁はかつて参拝を自粛するとしていたが、来年
参院選に向けて、集票力は衰えたとは言え日本遺族会向けの「誠意」を
示す必要があったと考えられる。今回の参拝がポーズだったとしても、民
主党が進める国立追悼施設が戦死者の遺族に受け入れられるとは思えず、
また大多数の国民もそれを望んでいないのだ。民主党の違いを出すことで
自民党の地力を強化していく。つまり保守の再生以外に自民党が生き残る
術はなかろう。谷垣総裁には引き続きや靖国神社との距離を縮めて欲しい。