平成22年度予算の一般会計総額や新規の国債発行額をめぐって、閣僚の
発言が相次いでいる。仙谷由人行政刷新担当相や藤井裕久財務相が予算規
模を92兆円程度に収める意向を示したのに続き、平野博文官房長官も1
9日、「もっと切り込んでもらいたい」と、言いたい放題だ。しかし、税
収や景気の見通しが立たない段階で設定した目標には根拠がない。21年
補正予算の見直しをめぐっても数字が独り歩きしたが、同じことが繰り
返されようとしている。概算要求が出そろったばかりの段階で、早くも最
終的な予算規模の数字が飛び交っているのは、要求総額が約95兆円と過
去最大に膨張したことへの鳩山政権の“焦り”にほかならない。しかも概
算要求には、見かけ上の予算を少なく見せかけるため、要求時点では具体
額を明示しない「事項要求」が多用されている。今後の予算編成作業で獲
得を目指す手法だけに、実際の要求額はさらに膨らむことは確実だ。

 

無駄を無くすことで民主党マニフェスト実現のための財源を作り出す、
そんな威勢のいい掛け声が今となっては虚しいばかりだ。景気後退による
税収減などとっくに分かっていたことであり、結局はマニフェスト実現の
ためには赤字国債で穴埋めせざるを得ない。借金をしてまで実現して欲し
いと大多数の国民は思わないだろう。例えば看板政策の「子ども手当」は
2万6000円(来年度は半額)を所得制限も設けずに支給することにな
るが、それを赤字国債で賄うと言うことは、子供達の将来に負担を増やす
だけのことである。大幅な人口増が見込めれば、一人頭の負担は減るとし
ても、2万6000円を貰えるから子供を作ろうと思う夫婦がどれだけい
ると言うのだろうか。鳩山首相が4年間は消費税率をアップしないと明言
してしまった以上、税収増の当ては景気回復を待つくらいのものだが、麻
生政権の経済対策で下支えしてきた持ちこたえた景気とて、最悪の状況を
回避するための緊急措置にすぎないのだ。鳩山政権初の予算編成は早くも
正念場を迎えつつある、果たして首相を始めとした閣僚の面々がどれだけ
危機感を憶えているのであろうか。