平野博文官房長官は21日午前の記者会見で、日本郵政西川善文社長の
後任に斎藤次郎元大蔵事務次官が内定したことについて「郵政見直しの合
意項目を着実に遂行いただける人選だ」と述べた。平野氏はこの日朝、亀
井静香郵政改革・金融相から電話で斎藤氏内定の連絡を受けたことを明ら
かにし、20日に閣議決定した郵政改革の基本方針の実現に向け期待感を
示した。斎藤氏の就任が天下りに当たるとの見方については「批判は当た
らない」と一蹴したが、民主党日銀総裁の同意人事をめぐり、大蔵事務
次官経験者の起用に激しく抵抗したことがある。脱官僚を唱えた政権の方
針とも矛盾する。しかし、平野氏は日銀人事や政権の方針と、今回の人事
方針が異なった理由については明確に説明できず、「比較するのは少し違
う」などと繰り返すだけだった。

 

日本郵政の西川社長の後任として内定したのが、大蔵省の元大物次官とあ
っては「官から民へ」の流れは否定されたも同然である。去年、日銀総裁
の人事では、財務省出身の総裁候補者を、当時野党だった民主党参院
同意せず、一時的に日銀総裁不在と言う事態になったではないか。斎藤氏
小沢幹事長と近しい関係にあるとされ、党内を仕切る小沢幹事長の意向
が働いた結果なのではないかと勘繰られても仕方あるまい。先の衆院選
民主党に投票した有権者は、天下りを無くしていくものだと思いきや、政
府公認の天下りを実行したことで、唖然としたのではないか。これでは「
良い天下り」「悪い天下り」のダブルスタンダードがあると認めたような
ものである。能力本位で選んだにしても、能力があれば天下りは容認する
のかと受け止めるのが普通だ。平野官房長官が明確な説明が出来なかった
のは、斎藤氏の起用は「天下り」だと認めているからではないか。日本郵
政は民営化された以上、利益を上げなくてはならない。その舵取りに斎藤
氏が適切かは大いに疑問である。