22日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは元国家安全保障会議
不拡散戦略部長のキャロリン・レディ氏の「広がる日米安保の亀裂」と題
する論文を掲載、この中で同氏は、普天間飛行場移設問題などを挙げ、鳩
山政権の外交・安保政策は「東アジアの安全保障の礎石である日米同盟を
むしばむ恐れがある」と警告した。同氏は、米軍の抑止力低下につながる
同飛行場の国外移設を鳩山由紀夫首相はあきらめていないと指摘。首相が
東アジア共同体構想と「戯れている」ことや、岡田克也外相が核先制不使
用に関する対米協議に言及したことにも触れ、こうした姿勢では中国の軍
拡や北朝鮮の核問題には対応できないなどと批判した。 

 

自公政権化では米軍普天間飛行場の移設先を名護市のキャンプ・シュワブ
の沿岸部で合意していたが、民主党は先の衆院選でのマニフェストでは「
米軍再編や在日米軍基地のあり方について、見直しの方向で臨む」として
いた。それが一転して鳩山首相は「日米で合意した前提の下で沖縄県民に
も理解しうるような形がつくれるかどうかが一番大きな問題だ」と方針を
転換する発言をし、県内移設を事実上容認している。連立を組む社民党
福島党首はこれに反発して、「海上基地建設は自然破壊だ。沖縄県以外に
移設してもらいたい」と主張するなど、懸念されていた通り安全保障の面
で齟齬をきたしている。政権を取った以上、現実を見据えた対応をしなけ
ればならないはずだが、鳩山政権は理念を前面に押し出すあまり、現実を
見失っているのではないか。海の向こうからも、そう言った姿勢に疑念や
批判が出てきたことで、内政干渉と突っぱねることが出来るか、大いに注
目したいところである。