日本航空の経営再建をめぐり、前原誠司国土交通相は29日、官民共同出
資の「企業再生支援機構」の活用を柱とした再建方針を表明した。前原国
交相は再建策を検討してきた専門家チーム「JAL再生タスクフォース」
から支援機構の活用を促す報告書を受け取った後、日航に支援機構への支
援依頼を指示した。日航は支援機構を通じた公的資金による資本増強や政
府保証付き融資など、事実上、国の管理下で抜本的な経営立て直しを目指
す。日航は指示を受けて支援機構に再生支援を依頼する事前手続きを始め
た。支援機構が独自の資産査定などを行ったうえで支援の可否を決める。
支援が決まれば、日航への出資や融資を実施し、年内にも新たな再建策を
まとめる見通しだ。報告書提出を受けて記者会見した前原国交相は「(日
航の再建は)十分に可能だ」との認識を示した。

 

我が国のフラグシップ・エアラインとして、日航は国内・国外に向けて日
々旅客機を飛ばし続けてきた。だが、負の遺産日航の経営を蝕み、金融
機関から受けた巨額の融資も、運転資金としてあっと言う間に消えてしま
い、さすがに金融機関も日航の追加融資に躊躇してしまった。もともとは
国が出資した特殊法人として出発し、ある意味「親方日の丸」の体質をど
こかで引きずっていたのではないか、そう見えてしまう面があった。民主
党も日航を潰すわけにはいかない、そう判断したのであろう。国の管理下
に置いて経営の建て直しを目指すこととなったわけだが、不採算路線から
の撤退では地方からの反発は免れず、企業年金の強制的な減額は特別立法
が必要とされる。ただ、一つの航空会社にそこまで国が肩入れすることに
公平性を欠くとの批判もあることを忘れてはならない。過剰なリストラで
機体の運行やメンテナンスでミスが起きないか、そこが一番心配である。