国連総会第1委員会は29日、日本が提出した核廃絶決議を採択した。同
決議の採択は16年連続。賛同国は過去最多となる170カ国に達し、今
回初めて共同提案国となった米国も加わった。反対したのは北朝鮮とイン
ドの2カ国。中国、フランス、イスラエルなど8カ国は棄権した。オバマ
米大統領による「核兵器のない世界」の理念の提唱などで、世界的に高ま
っている核軍縮の機運を反映した形となった。同決議は今後、12月上旬
に国連総会本会議で採択される見通し。委員会での採択を受け、日本の須
田明夫・軍縮大使は「これだけの圧倒的多数で日本の提案が支持されたこ
とは、核軍縮に向けたわれわれの今後の努力にとって大きな励みになる」
と述べた。決議は、最近の核軍縮機運の高まりを「歓迎」するとともに、
来年の核拡散防止条約再検討会議を成功させることの重要性などをうたっ
ている。総会決議に拘束力はなく、国際社会に対する理念の提唱が決議の
主目的となる。

 

我が国が提出した核廃絶決議は過去最多の賛同国を得て採択されたわけだ
が、核廃絶に向けた大きな一歩となるかは不透明である。核兵器保有
ているとされる北朝鮮は反対の姿勢を示し、核保有国である中国やフラン
スは棄権している。つまり、核廃絶と言う大義を掲げても、単純に全会一
致での採択が得られないのが国際社会であることが、改めて証明されたの
である。オバマ大統領が提唱した「核兵器のない世界」の理念が、追い風
となっているのは言うまでも無いことだが、それに気を良くしたのか、我
が国も岡田外相が核兵器の「先制不使用」を米国に求めたものの、軽く一
蹴されている。その理由として、北東アジア地域の脅威が増している中で、
こうした問題は注意深く扱うべき、としているが、これは北朝鮮のことを
指しているのだろう。現実問題として、我が国の周囲は中国、ロシア、北
朝鮮と核保有国、または核保有の疑惑がある国ばかりであり、この状況を
考慮しないまま米国の核の傘を脱するのは、果たして得策なのか。米国は
そう言いたかったのではなかろうか。むろん、核の傘が信用出来るものな
のかは、大いに疑問ではあるが。