鳩山由紀夫首相は30日夕、2010年度税制改正厚生労働省が要望し
ているたばこ税増税について、首相官邸で記者団に「環境や人間の体の面
から見て、増税という方向がわたしはあり得べしかなと思う」と述べ、前
向きな考えを示した。同時に、首相は「国民の信頼がなければ、少なくと
も税金を上げる議論はなかなかできない」と指摘。「無駄遣いを削り、ぎ
りぎりまで日本の財政をスリムにした努力を見ていただく中で、結論を出
すしかない」とも語った。ガソリン税などの暫定税率撤廃に伴い検討され
ている「地球温暖化対策税」に関しては、「環境のために増税していいか
どうかは、国民の理解を求めない限り難しい」として、暫定税率撤廃と同
時に環境税を導入するのは困難との見方を示した。平野博文官房長官は同
日午後の記者会見で、暫定税率撤廃に関し「地方財源については財務当局
や関係当局がしっかり協議することになる」として、約8100億円とさ
れる地方分の税収減を補うため、代替財源の検討が必要との認識を示した。 

 

民主党は無駄の削減で財源を作ると言っていたはずだが、早くも増税の話
が出始めている。取れるところから取る、そう言った発想に基けば、手っ
取り早いのは嗜好品の税金を上げることなのだろうが、民主党のマニフェ
ストの財源確保のための増税となれば、反発は大きいのではないか。特に
暫定税率の撤廃した代わりに、地球温暖化対策税なるものを用意するのは、
単なる税の付け替えに過ぎず、このような場当たり的な対応をしていては、
困ったら増税すれば良いとの安易な考えに向かっていってしまうのではな
いか。そうならないためにも、民主党が言うところの無駄を削減し、財源
を示して欲しいのだが、その前に増税の話が先行して出てくるあたり、警
戒するのが当然である。例えば、暫定税率の廃止にしても、8000億に
も上る地方分の税収が吹き飛ぶことになり、疲弊する地方には大打撃とな
る、では穴埋めとして環境税を作れば良い、そんな短絡的な発想が見え隠
れするのは気のせいか。これについては、国会では「税金の付け替えだ」
との野次も飛んでいたが、早急な導入は難しいだろう。どのように理解を
得るか、そのプロセスを無視することは許されない。