米南部バージニア州と東部ニュージャージー州の知事選、ニューヨーク州
選出の連邦下院議員補欠選挙が3日投開票された。新人同士の一騎打ちと
なったバージニア州では共和党の前州検事総長、ボブ・マクドネル候補が
民主党の州上院議員、クレイ・ディーズ候補を大きく引き離し当選を確実
にし、ニュージャージーでも共和党新人の前州検事、クリス・クリスティ
候補が民主党現職のジョン・コーザイン候補を破った。オバマ政権の景気
・雇用対策や医療保険制度改革を巡り、与党・民主党と野党・共和党の対
立が深まり、オバマ大統領の指導力と求心力にも陰りが見え始めている。
州知事選での民主党の敗北は、10年秋の連邦議会中間選挙と37州の
知事選に向けた大統領の政権運営にも影響しそうだ。オバマ大統領が当選
して4日でちょうど1年になる。今回の選挙は、これまでのオバマ政権の
政策評価や、カリスマ性を政策の推進力としてきた「オバマ効果」を占う
ものとして注目されていた。

 

「チェンジ」を掲げて大統領選を戦い抜き、黒人として初の米国大統領に
就任したオバマ大統領。その期待は非常に大きく、オバマ大統領なら逼塞
した現状を変えてくれる、そんな思いもあったことだろう。だが、米国発
金融危機によって、景気後退に陥り、失業率は上昇、状況が良くなるど
ころか、悪くなっているのではないか。期待が大きいと言うのは、その反
動も大きいと言うことである。今回、民主党ニュージャージー、バージ
ニアの両州知事選で敗北したのも、これまで民主党を支持していた保守層
共和党に回帰し、無党派層民主党には流れることがなかった。むろん、
この結果だけを見てオバマ大統領の指導力や求心力が低下した、とは考え
にくいが、公的保険の導入など取り組む課題が世論を二分しかねないだけ
に、調整に失敗すれば一気に支持層は離反することだろう。ノーベル平和
賞の受賞で支持率は盛り返したようだが、それとて一過性のものに過ぎな
いのだ。来年には中間選挙を控え、オバマ大統領の評価がどのように下さ
れるか、注目したい。