「首相は『秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです』と述べて
いる。会計責任者が犯した事件について、どう責任を取るのか」衆院予算
委で偽装献金問題を取り上げた自民党柴山昌彦衆院議員には、追及の「
切り札」があった。首相が03年7月に配信したメールマガジンの一節。
当時、民主党幹部だった首相は土井たか子衆院議長の秘書による秘書給
与流用事件にからみ、「政治家と秘書は同罪」と断じていたのだ。そんな
過去の首相発言に、自民党は目をつけた。首相の資金管理団体の政治資金
収支報告書には、故人や献金をしていない人から寄付を受けたとの虚偽記
載があったことが判明。首相は元秘書の判断としているが、この日の答弁
では「会計責任者に対する監督及び選任に対し、それなりの責めを感じて
いる。監督責任の是非は、捜査に委ねたい」と防戦に追われた。

 

舌鋒鋭く他党の不祥事を追及してきたのが仇となったのか、自身の偽装献
金問題では防戦一方の鳩山首相。あくまで秘書がやったこと、自分は知ら
ないと逃げの一手を打ち続けたものの、国会の場では逃げるわけにもいか
ず、釈明に追われている。民主党国民の生活が第一、とのスローガンを
掲げていたはずだが、その民主党代表である鳩山首相は、株の売却益72
26万847円の所得を税務申告していなかったことが明らかになるなど、
お金の面でどこか浮世離れした感がある。有り余るほどの資産があるので、
秘書が流用していても気が付かなかった、では首相として、と言うよりも
人としての質が問われかねない。監督責任の是非を捜査に委ねるとしたの
も、説明責任を果たしていないと受け取られても仕方無いだろう。自身の
『秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです』との言葉に従えば、
鳩山首相も何らかの罰を受けるべきだ。野党時代と与党時代では発言を違
えても良い、そんなダブルスタンダードでは信頼が失墜するだけで無く、
首相としての質そのものが問われかねない。