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岡田外相は15日、就任後初めて沖縄県を訪問し、普天間飛行場移設問題
をめぐり、現行計画で移設先となっている名護市の島袋吉和市長や、同県
の仲井真弘多知事、沖縄県議会代表者らとそれぞれ会談した。仲井真知事
や島袋市長は、早期の普天間返還実現には、「名護移設もやむなし」とし
てきた経緯があり、政府の結論先送り姿勢に対するいら立ちを表明。一方、
県議会メンバーからは、民主党の従来の主張だった「県外移設」を実現す
るよう求められ、板挟みとなった。仲井真知事は「普天間の一日も早い危
険性の除去をお願いしたい」としたうえで、政府が結論を引き延ばしてい
ることによって、「県外移設への大変な期待が盛り上がっている」と懸念
を示した。また、島袋市長は「新政権の状況は、苦渋の選択をしてきた地
元住民の意向を無に帰すもので誠に遺憾だ。これまで3度の市長選を経て
きた。これ以上市民を二分したくない」と訴えた。一方、県内移設反対派
が多数を占める県議会の各派代表者からは、「民主党沖縄県連は、ずっと
『県外』『国外』を主張してきた」「日本の外交問題を田舎の市に負わせ
るやり方は非常に理不尽だ」などと怒りの声が相次いだ。
普天間基地の移設問題は、民主党がマニフェストで国外、県外移設を検討
するとしてしまった時点で、こじれるのは分かりきっていたことである。
そのため受け入れを容認していた名護市側も、政権を取った民主党が国外、
県外移設を検討しているのに、容認の姿勢を維持するのはおかしいと思っ
たのか、反対の声が高まりつつある。民主党は検討を重ねた上で、やむな
く名護移設で落ち着くとの方針だったのか、それとも本当に国外、県外移
設を考えていたのか、これだけ迷走をしてしまうと、方向がまるで見えな
いのが現状である。深刻なのは、首相、外相、防衛相、沖縄担当相の発言
にバラつきがある上、自ら退路を狭めていくような流れになりつつある。
岡田外相は年内の結論と言いながらも、鳩山首相は来年の名護市長選まで
先送りとするなど、当事者である沖縄県としても、誰に陳情すれば良いの
か困惑していることだろう。初めから国外、県外移設ありきでは、八ツ場
ダムの時と同様に議論すら停滞するのではないか。極めて優先順位の低い
永住外国人への参政権付与などに取り組まず、今目の前にある現実に取り
組むべきである。