菅副総理・国家戦略相は22日、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で
「事実上の凍結」とされた次世代スーパーコンピューター開発予算につい
て、判定を見直す考えを表明した。研究者などから批判が相次いでいたこ
とを受け、判断した。政府は今後、スパコン事業の継続に支障がないよう、
スパコン開発予算を確保する方向で調整を進める見通しだ。科学技術担当
を兼務している菅氏は22日のNHK番組で、スパコン開発予算について
事業仕分けは、政策判断をしているわけではない。当然見直すことにな
る」と述べた。また「行政刷新会議の本体は、首相も私も入っている。最
後は政治家が判断する」と語り、予算の削減が必要だと判定されたスパコ
ン以外の科学技術予算についても、政治判断で判定の見直しを検討する考
えを示した。

 

当初、スーパーコンピューターの予算が凍結扱いになったのは、行政刷新
会議での「世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」と言う仕分
け人の発言によるものが大きかった。ただし、行政刷新会議そのものは法
的根拠を持たず、そこで行われている事業仕分けも法的な拘束力を持つも
のではない。そのため、スーパーコンピューターの予算凍結も、政治家の
判断によって覆る方向になったわけだ。そもそも、仕分け作業は、財務省
がマニュアルまで用意した上、対象事業の問題点を列挙、さらに担当省庁
の反論に対する再反論の方法までも用意する、事実上の官僚主導なのでは
ないか。確かにロクな知識もないまま、仕分けをすることなど出来はしな
いであろうし、ある程度のマニュアルも必要であろうが、これを政治主導
と呼ぶのはいささか無理がある。多数の「仕分け人」が官僚を弁護人もな
しに裁く光景を「人民裁判」と揶揄する向きもあり、明日からの後半戦は、
この辺も修正されてくることが予想される。いずれにしても、真の政治主
導には程遠いと言わざるを得ない。