政府の行政刷新会議の作業グループは27日、平成22年度予算の概算要
求の無駄を削る事業仕分けを終えた。仕分け作業による財政効果は1兆6
千億円超で、独立行政法人基金特別会計の剰余金など、いわゆる「埋
蔵金」の国庫返納要求額が多くを占めた。政府は事業仕分けの結果を踏ま
え、過去最大の95兆円台にふくらんだ概算要求から3兆円以上の削減を
目指す。鳩山首相は27日夕、首相官邸で記者団に対し、「国民に予算と
いうものが見える形になった」と述べ、全面公開方式で行われた事業仕分
けの成果を強調した。その上で、「(今後の予算編成では)政治的な判断
というものが求められる」と強調した。初の試みとなった仕分け作業には、
効率重視のやり方や判定内容への批判がつきまとった。だが、予算編成過
程を公開とし、既得権益の確保を前提せずに無駄を省く手法も初めてで、
国民の高い関心と支持を集めた。刷新会議は今後、判定結果を実際にどう
予算に反映させるかが課題だ。

 

色々と物議を醸した行政刷新会議による事業仕分けだが、現在の時点で1
兆6千億円超の予算削減した効果があったとされている。しかし、財務省
主導との批判や仕分け人の無理解もあり、仕分けの内容そのものは賛否両
論と言ったところであろう。例えば自衛隊の制服購入費が海外調達などに
よる縮減を求められたことについて、北沢防衛相は「軍服を海外に依存す
るなんて話は世界中で聞いたことがない。その国と危険な状態になったら、
おんぼろ服で事に臨むのか」と声を上げざるを得なかった。言っているこ
とは極めて正論であって、自衛隊の制服を無駄の削減対象とすること自体
に無理がある。それでも、予算編成過程を一般に公開したことが評価され
たのか、鳩山内閣の支持率は微増した。さらに、仕分け人の蓮舫議員が舌
鋒鋭い質問や追及をしたことで、人気を集めているようだが、自衛隊の広
報センターと民間のテーマパークを比較し「有名テーマパークは、家族4
人で行けば数万円を超えてもリピーターがあとを絶たない。工夫が必要」
と切って捨てたのは、さすがに問題であろう。それでも人気が集まったの
は、見ている側も仕分けの中身では無く、仕分けの仕方に目がいっていた、
それに尽きるのではなかろうか。