政府税制調査会は3日、藤井裕久財務相ら幹部による企画委員会を開き、
扶養控除見直しやたばこ税について協議した。控除については、所得税
扶養控除に加え、住民税の扶養控除も廃止する方向で一致。たばこ税は1
本2〜3円程度の小幅増税でおおむね合意した。税調はこの結果を4日の
全体会合に諮った上、11日に予定している2010年度税制改正大綱取
りまとめに向け詰めの議論に入る。民主党はこれまで、子ども手当の財源
として所得税の扶養控除と配偶者控除を廃止し、住民税の控除は維持する
方針を示してきたことから、「公約の修正」に対する説明は必須。さらに、
配偶者控除の廃止は先送りされる公算で、住民税の扶養控除廃止に伴う約
6000億円を子ども手当の代替財源に充てた場合、地方負担の観点から
論議を呼びそうだ。

 

税収減は民主党の想定以上だったのだろうが、マニフェストで掲げた目玉
政策の実現のためには巨額の財源が求められている。税収が減少した上、
国債に頼るわけにもいかない、そうなると財源の確保のために控除の見直
し、理解が得やすい嗜好品の増税が進められることになった。また、来年
参院選の前に子ども手当を支給したいとの思惑も見え隠れしている。す
でに政局に政策が左右されていることの証左であろうが、このような場当
たり的な税制を実現したところで、将来にわたって継続できるシステムと
なるのか、大いに疑問である。政府内でも乏しい財源を少しでも補うため
に、子ども手当や高校の実質無償化の所得制限を設けようとの声が出始め、
マニフェストの修正を迫られている。しかし、国の借金を増やしてまで子
ども手当や高校の実質無償化をして欲しいと思っている人は少ないであろ
うし、成長した子供にそのまま借金として圧し掛かるのでは意味が無い。
じっくり議論した上で導入の是非を決めて欲しいものだ。