平野博文官房長官は28日午前の記者会見で、鳩山由紀夫首相が米軍普天
間飛行場の米領グアムへの移設は困難との見方を示したことについて「首
相の発言は発言としてあるが(グアム移設を)排除するという考え方はと
っていない」と述べた。政府と与党が新たな移設先を協議する「沖縄基地
問題検討委員会」の議題とする考えを示した発言だ。同委員会は同日午後、
首相官邸で第1回会合を開催。平野氏が主宰し、グアム移設を強硬に主張
する社民党から阿部知子政審会長ら2人、国民新党からは下地幹郎政調会
長、政府からは武正公一外務副大臣榛葉賀津也防衛副大臣らが参加。必
要に応じて有識者も加わる。平野氏は会見で、委員会の結論を来年5月ま
でに出す考えを示した。

 

鳩山首相は「海兵隊はグアムに8000人が移る。が、抑止力を考えると
それ以上はむずかしいというのが、私の考えだ。連立の協議のなかで議論
する」とグアムを事実上、候補から外す考えを示していたわけだが、自身
がインドを訪問中に、閣僚からその考えを否定されてしまった。社民党
の配慮とは言え、首相の考えが一顧だにされないのは、さすがに問題なの
ではないか。鳩山首相の口の軽さが原因なのだろうが、米国がますます不
信感を抱くのは当然であろう。この「沖縄基地問題検討委員会」なるもの
も、結論を5月まで先送りするための委員会と言っても良く、形式的なも
のに過ぎない。共同通信社が行った沖縄を除く46都道府県の知事へのア
ンケートでは、訓練や施設受け入れについて「十分可能」「条件が整えば
可能」とする都道府県はなく、29都県は外交・安全保障政策は「国の専
管事項」「国の責任で行うべき」などと回答しており、国外どころか、県
外への移設すら難しいのが現状だ。連立を維持するために、時間を空費す
るのは如何なものなのだろうか。