[政治]

鳩山由紀夫首相は15日午前、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土
地購入をめぐる事件に関し、「国民の皆さんは『説明責任が果たされてい
ない』と思っている」との認識を示しながらも、「捜査中という状況の中
で、小沢幹事長としても話すべきこと、話すことができないこと、いろい
ろあると思う」と述べ、小沢幹事長の対応に一定の理解を示した。首相公
邸前で記者団の質問に答えた。また、民主党政権でも「政治とカネ」をめ
ぐる問題で世論の批判が出ていることに関しては、「こういう問題がある
にもかかわらず、民主党を国民の多くが選んでくれた。その責任も果たさ
なければいけない。政治とお金の問題に対し、クリーンな体質をつくる努
力も当然必要だ」と述べた。 

 

鳩山首相は何を言っているのだろうか。国民が先の衆院選の結果、民主党
政権が誕生したのは事実だが、小選挙区での得票率で見れば民主党が47
.4%、自民党は38.7%であった。比率で言えば1.2対:1であり、
大多数の国民が民主党を選んだわけでもなかろう。第一、民主党に票を投
じた有権者は政治とカネの問題を容認したつもりも無いであろうし、疑惑
を持たれている本人から明確な説明も無かったのだ。選挙前に発覚した鳩
山首相の偽装献金問題にしても、選挙に影響しないように捜査が手控えら
れ、脱税まがいの全容が明らかになったのは、鳩山政権誕生後だったでは
ないか。つまり、民主党が先の衆院選で大勝したこと=政治とカネの問題
を容認した、との図式はそもそも成り立たないのである。圧倒的な存在感
を誇る小沢幹事長を切れないのは分かるが、対応としては問題が残る。そ
れにしても小沢幹事長は「捜査中なので答えられない」で逃げ通せると思
っているのであろうか。随所に小沢幹事長の関与が見られる問題だけに、
知らぬ存ぜぬでは済まないだろう。