日米両政府は2日午前、外務・防衛担当局長らによる「日米安全保障高級
事務レベル協議」を外務省で開催し、安保条約改定50年を踏まえ、同盟
深化の共同文書作成に本格的に着手した。懸案の米軍普天間飛行場移設問
題を決着させた上で、年内の合意を目指す。普天間問題に関し日本側は、
5月末までに移設先を決める方針を説明し、理解を求めた。しかし、米側
キャンプ・シュワブ沿岸部に代替施設を建設するとした現行計画の履行
を求める立場を重ねて表明、日米の溝は埋まらなかった。協議には、日本
側から梅本和義外務省北米局長、高見沢将林防衛省防衛政策局長らが、米
側からキャンベル国務次官補、グレグソン国防次官補らがそれぞれ出席し
た。協議後、キャンベル氏は記者団に対し、普天間問題について「現行計
画が最善と明確に伝えた。今後日本と緊密に協議していく」と述べた。 

 

鳩山首相が「自分で判断する」と言いながら、結局は5月末に先送りする
ことになった普天間基地の移設問題。5月末にした根拠を聞いた覚えは無
いが、あくまで現行案を主張する米国との溝を埋めるには、鳩山首相の決
断が求められている。名護市長選で受け入れ容認派が勝利していれば、一
応の道筋が立てられていたはずだが、すでに退路は完全に断たれたに等し
いだろう。そんな首相の思いを忖度したのか、岡田外相は日本記者クラブ
で記者会見し「ほかに(候補地が)なければ普天間が今のままということ
もあり得る」と述べ、継続使用の可能性に言及してしまった。この発言は
与党内からも反発を招いており、普天間基地の移設問題は鳩山政権にとっ
て、命取りになりかねない状態である。あの時、辺野古に決めておけばと
鳩山首相が後悔しないように、祈るばかりである。どう決着しても、日米
関係に禍根を残すことは避けらないだろう。