任期満了に伴う長崎県知事選が21日投開票され、自民、公明両党が支援
した前副知事の中村法道氏が、民主など与党3党が推薦した前農水省室長
の橋本剛氏ら6人を破り初当選した。今夏参院選の前哨戦として注目され
たが、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の「政治とカネ」問題が政権交代
後の民主党の勢いをそいでいる現状を示す結果となった。今後の政権運営
や、進退問題のくすぶる小沢氏の求心力にも影響を与えそうだ。当日有権
者数は117万4280人、投票率は60.08%だった。民主党にとっ
て長崎は09年衆院選の県内4小選挙区で全勝し、04、07年参院選
制した「国会議員独占県」。有利な情勢で臨んだはずが手痛い敗北を喫し、
参院選へ向け党内の危機感が強まっている。

 

国政における選挙区を独占する民主王国の長崎で、与党推薦の候補が敗れ
る事態に、政権交代効果は薄れてきたことが伺える。これまでは自民党
外の受け皿として、民主党系の候補に票が投じられてきたわけだが、今回
は完敗と言える得票差であった。むろん、民主党に比べ厚い地方組織をフ
ル回転させられるだけの地力を、自民党が残していることの証明でもあろ
う。さらに、同日行われた東京の町田市長選では、小沢幹事長が選挙事務
所を激励に訪れたり、菅副総理兼財務相が街頭演説するなど、かなりの力
を入れたにも関わらず、与党推薦の候補は現職に敗れ去っている。それだ
け、有権者民主党への不信感を強めているとの見方が出来、この状況を
打開するには「政治とカネ」の問題をクリアしていく以外に無い。参院選
単独過半数確保などと言っている場合では無くなってきたようだ。