鳩山由紀夫首相は26日午前、高校無償化法案の対象から朝鮮学校を外す
かどうかについて「文部科学省を中心に検討している。まだ結論が出てい
る話ではない」と記者団に語った。25日夜には「その方向性になりそう
だと聞いている」と述べたが、26日は「授業内容が一つの検討材料にな
ることは間違いない。国交がない国の教科内容を果たして私どもが検討で
きるかということがある」と慎重に検討する考えを示した。平野博文官房
長官も26日の記者会見で「法律を出している以上、今から外すなんてこ
とは言うべきでないし、そういうことを首相はおっしゃったわけでない」
と25日の首相発言を修正。「首相の考えは考えとしてあっても、第一義
的には文科相が省令で決める」と語った。中井洽拉致問題担当相は北朝鮮
による拉致問題を理由に朝鮮学校を対象外とするよう主張しているが、首
相は「拉致問題とかかわりのある話ではない」と指摘した。

 

高校の授業料無償化には、国公私立を問わず全生徒に1人当たり年間約1
2万円が支給され、総額で4500億円にも上る税金が投じられる。福島
少子化担当相は「学ぶ権利を保障する制度なので、できる限り多くの子ど
もたちを応援する立場であるべきだ。議論になっているカリキュラムなど
の点は、きちんと検証すればいい」と主張しているが、他国の学校まで支
援しなくてはならない理由が「学ぶ権利」のため、では筋が通らないだろ
う。担当の川端文科相は「高校と同等とみなせるかどうかの判断基準と、
基準の確認方法を定め、客観的に決めたい」と説明し、あくまで拉致問題
とは無関係であるとの立場を崩していない。しかし、我が国は北朝鮮に対
して経済制裁を実施しており、拉致問題が両国の間には横たわり、一向に
解決の兆しが見えてこないのも事実である。拉致問題を考慮に入れた上で、
閣内不一致を解消して、除外の方向に持っていくのが順当ではないか。