民主党は3日、夏の参院選の候補者を発表した。第一次公認候補が87人、
推薦候補が選挙区2人の計89人。改選数2議席以上の「複数選挙区」で、
複数候補を擁立する小沢一郎幹事長の戦略から、平成19年の前回参院選
で擁立した80人を上回る過去最多の候補者数となった。だが、民主党は、
政権交代を求める世論の追い風を受けた昨年の衆院選時とは打って変わっ
て、「政治とカネ」の問題で逆風にさらされている。小沢氏が目指す複数
擁立もこの日、地方組織の消極姿勢によって8選挙区で間に合わず、調整
を続けることなった。民主党執行部は、1人区と複数区の計15選挙区に
ついて今月上旬の2次公認発表を目指す。「例外を作るつもりはない。お
互いに切磋琢磨して選挙戦を戦うことで支援の裾野を広げられる。複数候
補擁立の方針は変えるつもりはないし、変える必要もない」単独過半数
は夏の参院選で60議席以上の獲得が必要だが、それには2人区での2議
席、3、5人区での2〜3議席の獲得が欠かせない。衆参両院で過半数
握れば政権が現在とは段違いに安定する。

 

政権交代の追い風は止み「政治とカネ」と言う逆風が民主党に吹く中で、
果たして参院での単独過半数獲得がなるか、その見通しは暗いと言わざる
を得ないだろう。それでも小沢幹事長は複数候補擁立の方針は変えずに、
一挙に89人の候補者を擁立することを発表した。今回、18の複数区の
うち、連立与党との選挙協力などを考慮した新潟、広島、福岡を除く15
選挙区に複数候補を立てる方針だったが、北海道など7選挙区では目標を
達成したものの、福島、茨城、長野、静岡、愛知、京都、大阪の7選挙区
では2人目が間に合わず、改選数5の東京でも1次では3人目の公認を見
送っている。無理に複数候補を立てて共倒れになるのを地方の県連も恐れ
ており、この調整に手間取ったことで候補者の発表もずれ込んだわけだ。
小沢幹事長は例外を作るつもりは無いと断言するものの、自身の「政治と
カネ」の問題が民主党に逆風をもたらしている自覚はあるのだろうか。そ
れとも参院選に勝つことで、信任を得たと言うことにするつもりなのか。
いずれにしても、逆風を追い風に変えるには、参院選前の幹事長辞任の切
り札が機能するとは思えないのだ。つまり二匹目のドジョウは有権者に見
透かされていると言うことである。