[政治][社会]

2010年度の暫定的な支給内容を定めた子ども手当法が26日、参院
会議で成立し、焦点は11年度以降の本格実施に向けた制度設計に移る。
鳩山由紀夫首相は民主党マニフェスト通り子ども1人当たり月2万60
00円の満額を支給したい考えだが、年間5兆3000億円に上る財源の
めどは立っておらず、実現は不透明だ。その支給額の根拠について、政府
側の説明はあいまいで、検証が必要となりそうだ。長妻昭厚生労働相は国
会答弁で、2万6000円の支給月額について、「食費や被服費、学費な
ど子育てに必要な基礎的費用の相当部分がカバーできる額」と説明したが、
「積み上げて決めたのではない。総合的な判断だ」などと言葉を濁した。

 

15歳以下の子どもを持つ保護者に対し、国籍を問わず、所得制限無しに
一律2万6000円を支給する、実に壮大なバラ撒き政策である。我が国
の税収は落ち込み、これが早急に上向く可能性は極めて低い中で、子ども
手当なるバラ撒きを永続的な制度として存続させられるのか、この点がま
ず疑問だ。さらに、民主党が言うところの予算の組み替えや無駄の削減で
生み出すとされた財源はどうなったのか。第二弾の事業仕分けも控えてい
るようだが、何兆円単位で削減が出来るとは到底思えない。無理にマニフ
ェストを実現しようとするあまり、かえって自らの手足を縛るのが鳩山政
権の致命的なところだろう。失敗したら、これまで政権を担ってきた自民
党のせいにすれば良いなどと考えているのではないか。支給金額の2万6
000円の根拠すら答えられないところ、場当たり的な政策であると自白
したに等しいとは思うが。