鳩山由紀夫首相は26日、10年度予算成立を受けた記者会見に臨み、内
閣支持率の下落傾向について「深刻に受け止めるべきだと理解している」
と強い危機感を示した。ただ、鳩山政権が抱える郵政改革案や「政治とカ
ネ」の問題を巡る発言は揺れ動き、今夏の参院選を控え、首相の焦りばか
りが空回りしている印象は否めなかった。首相は、閣内対立が表面化した
郵政改革案について、全閣僚による閣僚懇談会を30日に開き、最終案を
取りまとめる方針を表明した。しかし、亀井静香金融・郵政担当相の改革
案について「委員会などで答弁した数字は大変重い。閣僚も認識する中で
議論を進めることが必要だ」とも語り、骨格部分の修正には否定的な考え
を示した。「政治とカネ」についても、首相の姿勢ははっきりしない。首
相は23日、北海道教職員組合からの違法献金事件を抱える民主党の小林
千代美衆院議員に対し、処分の必要性に言及。しかし、26日の会見では
「小林氏は関連する公判が控えており、党として、処分ということまで考
えていないという状況だ」と述べるにとどめた。

 

民主党にとって最も懸念されるのが、鳩山政権の支持率が低迷したままで
参院選に臨むことであろう。これまで自民党を支持してきた業界団体は離
反したとは言え、民主党の支持に回ったわけでもなく、参院選の結果次第
で元の鞘に戻る可能性すらあるのだ。鳩山首相は「政治主導というが、ど
うもいろいろと不統一があるんじゃないか。そんなおしかりもいただいて
いる」と語ったものの、政治主導自体は悪いことではない。鳩山内閣の閣
僚が好き勝手に発言するために、全く統制が取れていないイメージをもた
れ、さらに鳩山首相指導力が問われることになっているのだ。いわゆる
政治とカネの問題も、党内からは問題視する声は聞こえてこない上に、批
判を少しでも口にした途端、解任の動きが出るあたり、自浄作用が無いと
言われても仕方の無い雰囲気である。党勢の回復には、子ども手当のよう
なバラ撒きに頼るのでは無く、ブレのない確固たる政権運営が重要だ。八
方美人な鳩山首相には、それが出来ないのは十分に承知しているが、少な
くとも、今のところは貴方が首相なのだ。