平沼赳夫経済産業相与謝野馨財務相らが8日にも結成する新党は、
憲法改正と消費税率引き上げを政策の柱にすることが4日、分かった。現
在の自民党で議論が停滞気味の憲法と消費税を二大看板とすることで、自
民党から離れた保守層を掘り起こす狙いがある。憲法改正は平沼氏が政治
信条として「自主憲法制定」を掲げている。消費税率引き上げは与謝野氏
の持論で、安定的な社会保障制度を構築する目的がある。両氏とも互いの
政策には異論がないため、共同代表となる両氏のカラーを融合させること
で、「国家的課題」に取り組む「プロフェッショナル集団」をアピールす
る。与謝野氏は4日、フジテレビ「新報道2001」で、新党を今週中に
結成し、政党要件を満たす5人以上のメンバーは確保できたと表明。夏の
参院選については「良識のある方々に立候補していただく。比例代表は当
然のこととして、東京とかほかの選挙区も検討していく」と述べ、比例代
表や東京選挙区に候補者を擁立する方針を示した。

 

与謝野氏は小泉政権時代に政調会長を務め、郵政民営化法案を取りまとめ
たのに対し、平沼氏は郵政民営化法案に反対し、そのまま自民党を追放さ
れて無所属を貫いてきた。水と油のように見える二人の関係だけに、共同
代表と言う策で乗り切れるかは微妙なところだ。平沼氏はともかくとして、
与謝野氏に保守派のイメージを持つ人は少ないであろうし、憲法改正を掲
げることで、どれだけの支持を集められるのか。そして、敢えて消費税率
引き上げを示したことは、大きな賭けだろう。財政再建派の与謝野氏とし
ては外せない看板にしても、選挙で訴えることに抵抗を憶える候補も出て
くるのではないか。また、自民党内で執行部の人事刷新を求めていた与謝
野氏だが、立ち上げ予定の新党の顔ぶれを見る限り、ベテランばかりで新
鮮さが無いのだ。単に選挙対策としての新党なら、有権者に簡単に見透か
されてしまう。一部の世論調査では新党に「期待しない」との回答は65
・9%にも上っており、顔ぶれ次第ではこの数字が下がることは無い。