米軍普天間飛行場移設問題で、政府が「2段階移設案」の最終移設先とし
てきた米軍ホワイトビーチ沖に人工島を建造する計画を断念したことが8
日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。今後はキャンプ・シュワ
ブ陸上部に600メートル級のヘリコプター離着陸帯を造り、徳之島など
に分散移転させる案が有力になるが、2段階移設案が頓挫したことにより
鳩山由紀夫首相が明言する5月中の最終決着はますます困難となった。
ホワイトビーチ案は、勝連半島沖を埋め立て3600メートル級滑走路2
本や港湾施設などを建設し、普天間飛行場自衛隊基地機能を集約する計
画。沖縄商工会議所の太田範雄名誉会頭らが熱心に誘致し、一部海兵隊
係者に評価する声もあることから、地元交渉を担う平野博文官房長官がこ
の案を主導してきた。ところが、沖縄県や地元自治体は、モズク漁などへ
の影響が大きいとして反対を表明。社民、国民新両党も撤回を求めてきた。

 

普天間基地の移設は5月末決着に向けて、本来なら大詰めに入っていなけ
ればならないはずだが、鳩山首相が推す2段階移設案は実現が困難なもの
になろうとしている。もともとホワイトビーチ沖の埋め立てに15〜20
年を要し、費用も1兆円にのぼるとされ、早期の実現は不可能なものであ
った。それでも鳩山首相が推したのは、県外である徳之島などに一時的に
せよ分散配置することで、体面を保とうとしたためではなかろうか。そも
そも、なぜ辺野古沖では駄目なのか、その理由がはっきりしないまま進め
られることに、誰もが釈然としないのではないか。それでも鳩山首相は腹
案があるとして、何とか決着をはかろうとしているようだが、米国だけで
無く沖縄までも疑心の目を向けている中で、誰もが納得するような案を提
示出来るものなのか。先日、政府案の取りまとめについて「今月中じゃな
きゃならないとか、別に法的に決まっているわけではない」と発言した鳩
山首相だけに、5月末に決着との言葉もあっさり翻しそうではあるのだが。