[政治]

鳩山由紀夫首相は12日夜、核安全保障サミットの夕食会でオバマ米大統
領と非公式に接触し、米軍普天間飛行場移設問題について、5月末までに
決着させるとした日本政府の方針を説明する。今回の首相訪米では、正式
な日米首脳会談は見送られた。一方、夕食会で首相は大統領と隣り合わせ
となる見通しだ。普天間問題で日本側は、キャンプ・シュワブ沿岸部に移
設する現行計画に代え、鹿児島県徳之島への訓練移設と、キャンプ・シュ
ワブ陸上部にヘリ離着陸帯を建設する案を組み合わせることを検討してい
る。首相は席上、大統領にこうした日本の検討状況を説明し、5月末まで
の決着に向け協力を要請する考え。しかし、米側は基地機能の分散移転は
部隊運用に支障が出るとして難色を示している。また、移設先の地元合意
を取り付けることも求めているが、日本側では沖縄に加えて徳之島でも移
設反対の動きが強まっている。このため、大統領が首相の説明にどのよう
な反応を示すかが注目される。 

 

具体的な移設先が決まっていない状態で、オバマ大統領と会談したところ
で、軽くあしらわれるのがオチだろう。実際、核安全保障サミットの夕食
会の席上、約10分間の非公式会談を行ったようだが、鳩山首相は米軍普
天間飛行場の移設問題について「5月末までに決着する」と訴えただけに
終わった。検討中である政府案とて、その実態は普天間基地の分散配置に
過ぎず、訓練施設の移設候補地である徳之島は、移設反対の勢いが強まっ
ている。そもそも、移設の候補にするに当たって、徳之島側の感触は確か
めたのであろうか。ある程度の接触はしていた中で、メディアに漏れてし
まったのか。事実は不明だが、振興策とバーターで、基地受け入れを検討
していた賛成派もいたのだろう。米国に5月末までの決着に向けて協力を
要請する、とあるのも米国側とすれば何を今さらと言ったところだろう。
現行案で妥協しようにも、名護市長選は反対派が勝利したことで、完全に
逃げ場を失った。自ら5月末で決着と言ったのだから、決着出来なかった
場合の政治責任は極めて重大だ。