鳩山由紀夫首相は19日午前、政府が米軍普天間飛行場のヘリ部隊移転先
として検討している鹿児島県徳之島で開かれた反対集会について、首相公
邸前で記者団に「一つの民意と理解すべきだ。そういう民意も勉強させて
いただきながら、政府として普天間の移設先に関しては真剣に考えていき
たい」と述べた。これに関し、平野博文官房長官は記者会見で、普天間
設で理解を求めるため、首相が徳之島入りを検討していることを明らかに
した。18日の移設反対集会には、主催者発表で島の人口の6割近い約1
万5000人が参加。政府内には、首相が明言している5月末までの移設
問題の決着に一段と悲観論が広がっている。首相は「大変なエネルギーだ
と思う」と指摘。「政府として正式に徳之島に移設を打診する考えはある
か」との質問には答えなかった。平野長官は、首相発言について「政府と
してはしっかりその気持ちを踏まえて、説明をするなら説明する、決定を
するなら決定をする、丁寧に対応しなければいけないという気持ちなのだ
ろう」と語った。

 

徳之島の住民の中にも少なからず基地の受け入れ賛成派はいるはずだが、
これだけの規模で反対集会を開かれてしまうと、大っぴらに受け入れに賛
成とは言いにくくなるであろう。だが、鳩山首相は「沖縄の過重な負担を
全国で分かち合う気持ちを示してほしい。政府案をいずれ国民の皆さんに
お願いしたい。その段階では誠心誠意尽くしていきたい」と発言している。
政府から徳之島が移設の候補地であることが明言されたわけではないが、
水面下で受け入れ賛成派と接触してきたのは間違い無く、感情論を抜きに
しても反対派の住民が危機感を憶えるのは当然であろう。4月も半ばを過
ぎたと言うのに、あくまで県外移設を目指しているようでは、5月末の決
着など始めから無理である。それとも、大逆転が出来るようなプランを考
えているのだろうか。普天間基地の移設問題を5月末までに解決すれば、
指導力があると評価されなくもないだろうが、ここまで迷走させたツケは
大きい。かつて、辞任と引き換えに受け入れを容認した名護市長のように、
自分のクビを賭けるのなら評価はされるだろうが。