平野博文官房長官は21日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場のヘリ部
隊の移転先として政府が検討する鹿児島県・徳之島の3町長との会談につ
いて「そういう機会があれば、お会いして説明する」と述べ、実現に意欲
を示した。平野長官は20日に、滝野欣弥官房副長官を通じ3町長に会談
を要請したが、拒否されている。平野長官は、3町長への会談要請につい
て「わたしの判断だ」と、鳩山由紀夫首相には事前に説明していなかった
ことを明かした。さらに、20日に仲井真弘多沖縄県知事と電話で会談し
たことも明らかにした。25日には県内移設に反対する県民大会が開かれ
る予定で、平野長官は仲井真知事に大会に出席しないよう働き掛けたとみ
られる。一方、首相は21日午前、首相公邸前で記者団に「今、大変厳し
い天気かもしれないが、必ず5月末までには五月晴れにしないといかん。
そのために全力を挙げて頑張っている最中だ」と決着への決意を強調。

 

5月末の決着に向けて全力を挙げると言いながらも、官邸の対応はバラバ
ラのように見える。徳之島の3町長は会談を拒否しており、どんなに魅力
的な振興策を提示したところで、今さら基地の受け入れを容認することは
難しいだろう。それでも鳩山首相は「5月末までに五月晴れにしないとい
けない」と呑気なことを口走っているのは、5月末の決着を諦めたのでは
とも思ってしまう。首相の女房役である平野官房長官も「後手に回ってい
る認識はない。可能性は十分あると思っている」と徳之島への移設に期待
を寄せている。一部報道では現行案に近いキャンプ・シュワブ沖の浅瀬に
移設する案も検討中と出ており、県外移設を検討したと言う建前をもって
そちらを本命とするのか。いずれにせよ、迷走を続けた責任は現政権にあ
ることに変わらない。一刻も早く解決策を示すべきだ。