鳩山首相資金管理団体の偽装献金事件で検察審査会が首相の「不起訴相
当」を議決したことについて、政府・与党には26日、「一定の区切り」
がついたと幕引きを期待する声が広がった。だが、同審査会は、首相が母
親からの巨額の資金提供を「全く知らなかった」としていることについて
疑問を投げかけており、首相の説明責任はなお残った格好だ。野党側は、
関連資料の国会提出や集中審議などを要求し、首相を厳しく追及する方針
だ。首相は26日夕、首相官邸で記者団に「当事者の立場からは何も申し
上げるべきではない。すべて厳粛に受け止める」と神妙な面持ちで語った。
民主党山岡賢次国会対策委員長は同日の記者会見で「よい結論だった。
今後の国会運営はその結論に沿った進め方をする」と述べ、野党の要求に
は応じない考えを強調した。だが、検察審査会が、首相の姿勢に疑問を投
げかけたことについては、社民党の重野幹事長が「国民目線では疑問、懸
念は感じる。首相は懇切丁寧に説明するように心がけていかないといけな
い」と指摘するなど、与党内でも首相の「説明責任」不足を指摘する声が
あがった。

 

鳩山政権の支持率は下がる一方で、上がる気配が全く無い状況だ。さらに
追い打ちをかけたのが、鳩山首相資金管理団体の偽装献金問題について
検察審査会で疑問を投げかけられたことである。そもそも、鳩山首相は元
公設第1秘書の裁判終了後に、関連資料を提出し、資金の使途を明らかに
する考えを示していた。しかし「プライバシー」を理由に一転して資料提
出を拒み、約束を反故にしたのは、何かやましいことがあるかのようにも
受け取れる。巨額の資金提供を「全く知らなかった」で押し通す鳩山首相
に対して、検察審査会は「国民目線では疑問」との言葉で応じたわけだが、
これは誰もが感じたことであろう。これで一連の問題が解決したとは言え
ず、説明責任を放棄したとしか有権者は受け止めないであろうし、野党だ
けで無く与党からも批判の声は上がるはずだ。鳩山首相にとって、支持率
低迷の端緒となった問題だけに、本来なら早急に鎮火しなければならなか
ったが「知らぬ存ぜぬ」で逃げたことで、検察審査会の「不起訴相当」の
議決が出ても、全てが解決したわけではないのが痛いところだ。