前原国土交通相が訪米で存在感を示している。沖縄県の米軍普天間飛行場
移設問題を巡り日米関係がきしむ中、安全保障政策では自民党政権当時か
ら一目置かれてきた前原氏に、米側が局面打開の役割を期待する場面も見
られた。「朝鮮半島情勢も微妙だし、防衛力増強を行っている中国が日本
近海で活動を活発化させている。日米同盟の足元をもう一度しっかり固め
ることが必要だ」前原氏は29日のワシントンでの記者会見で訴えた。3
日間の米国滞在の目的は、官民一体で日本の新幹線技術を売り込むことだ。
前原氏はその合間を縫い、米戦略国際問題研究所ジョン・ハムレ所長ら
旧知の外交・安保関係者らと分刻みで会談。米民主党の重鎮、イノウエ上
院議員は前原氏に「辛抱強く同盟国の努力を待つ」と言質を与えた。

 

前原氏は代表時代に偽メール問題で民主党を危機に追い込んだだけに、再
びトップに立つのは容易なことでは無いだろうが、再浮上の芽として沖縄
普天間基地移設問題がある。前原氏は沖縄担当相として、米民主党のイ
ノウエ氏より「日米同盟は日米間のみならず、地域の安定のために非常に
重要だ。その観点で、議員や関係者には辛抱強く待つよう言っている。米
国は大統領選挙から履行期間があるが、日本は政権交代をしたらすぐに実
行しなければならない。日本の立場も理解しなければならない」との言葉
を引き出している。ここまで迷走させた責任は鳩山首相に帰するのだろう
が、5月末までに決着させると言ったのは首相自身である。どう決着させ
るのかが見えない中、移設候補として名前の挙がる徳之島の有力者に面会
したりと、自ら退路を狭めている。沖縄担当相の前原氏がこの問題を捌こ
うにも、難しい状況にあるのは間違いないだろう。