仙谷由人国家戦略担当相は4日、滞在先のハノイ市内で同行記者団に対し、
民主党小沢一郎幹事長が自らの資金管理団体をめぐる政治資金規正法
反事件で検察審査会から「起訴相当」とされたことについて、「参院選
候補者のことを十二分に考えていただけると思っている。候補者の生の声
がそろそろ届いてくるのではないか」と述べた。鳩山内閣民主党の支持
率の低迷を背景に参院選への影響を考慮して、小沢氏が自発的に辞任すべ
きだとの考えを示したものとみられる。また、参院選の勝敗ラインについ
て「過半数に届かずとも、それに近い勝ち方をしなければならない」とも
指摘した。仙谷氏と同様に小沢氏と距離を置く前原誠司国土交通相もハノ
イに滞在している。両氏は現地での「密会」を否定しているが、鳩山内閣
が窮地に陥っている時期だけに憶測を呼んでいる。

 

参院選において、民主党単独過半数を得るには、年金問題を武器に大勝
した2007年参院選と同じ60議席が必要とされている。だが、3年前
と違って民主党には追い風どころか逆風が吹いている状態で、非常に難し
いと言わざるを得ない。ここまで落ち込んだ支持率を一気に上昇させるよ
うな秘策も無いであろうし、支持率狙いの政策など見透かされるだけであ
る。結局、社民党国民新党との連立与党3党を維持するのなら55議席
過半数とはなるが、普天間基地の移設問題で、社民党が離脱のポーズを
取っていることもあり、参院選後の連立は組み替えがあるかもしれない。
そもそも支持率低下の原因は、鳩山首相小沢幹事長の「政治とカネ」の
問題が大きかった。鳩山首相は逃げ切ったものの、小沢幹事長は検察審査
会から「起訴相当」の議決を突き付けられ、未だに疑惑は晴れていない。
むろん、本人は「シロ」であることを主張し続けるであろうし、そう簡単
に決着はつかないだろう。それだけに、問題は尾を引き、鳩山政権のアキ
レス腱となっているわけだ。腱が切れないうちに、どう対処するか、悩ま
しい問題であることに違いない。