[政治]

鳩山由紀夫首相は6日午前、米軍普天間飛行場の移設先を県外とする方針
の転換を沖縄県側に説明したことについて、「『最低でも県外』と言った
のは自分自身の発言。自分の言葉を実現したいと思い、政権の中で努力し
てきた」と釈明した。その上で、県外移設は民主党の昨年の衆院選マニフ
ェストに盛り込んでいないことを挙げ、党の正式な公約ではないとの認識
を示した。首相公邸前で記者団の質問に答えた。首相は「党の公約では沖
縄の負担軽減、そのための米軍再編などの見直しをしっかりと行いたいと
いうことだ」と説明した。民主党は同選マニフェストで「在日米軍基地の
あり方についても見直しの方向で臨む」とだけ記し、普天間問題への言及
は避けた。また、首相は5日、公邸で平野博文官房長官松野頼久、滝野
欣弥両副長官らと今後の対応策を協議。外務、防衛両省の対米交渉実務担
当者も同席した。出席者によると、首相は「これからは米国にも言うべき
ことは言っていかないと」と発言。首相は再度の沖縄入りを検討しており、
その前に対米交渉を加速させる必要があるとの認識を示したものとみられる。

 

鳩山首相の発言は「県外移設はマニフェストに盛り込んでいないのだから、
県内で構わないのだ」との開き直りに聞こえるのは気のせいだろうか。で
は、自身がぶち上げた「最低でも県外」との言葉は、いったい何だったの
か。それに期待して民主党に票を投じた沖縄の有権者への裏切りであろう。
ここまで問題がこじれてきた中、このような発言をすること自体がおかし
な話だ。移設を進めようにも、米国だけで無く地元の合意が必要である以
上、わざわざ火に油を注ぐようなことを言う意味があるのか。沖縄にも移
設容認派はいるのだろうが、反対派の声が圧倒的に大きくなり、声が出せ
ない状態にある。仲井眞知事も県民大会には出席したものの、明確な反対
の声を上げなかったのは、強硬な姿勢を取ることで、結局は普天間基地
固定化につながることを恐れたためだ。反対を声高に叫んだところで、問
題そのものが動くことは無いだろう。鳩山首相は「これからは米国にも言
うべきことは言っていかないと」と発言したようだが、これだけ問題を迷
走させた首相の言葉を、誰が聞くと思うのだろうか。