政府は8日、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、同飛行場や米軍嘉手
納基地の飛行訓練を鹿児島県・徳之島のほかにも全国各地に分散移転させ
る方向で調整に入った。同飛行場の県外移設が困難となる中、沖縄の負担
軽減策の柱としたい考えだ。しかし、米側がどこまで応じるかは不明な上、
沖縄側や移転先自治体が納得する見通しも立っておらず、実現性は不透明
だ。北沢防衛相は8日夜、長野市での会合で「沖縄で活動しているヘリコ
プターや飛行機の訓練を日本全国へ散らし、『半分になった』『4割方減
った』と沖縄の皆さんに実感してもらえるような案を今作っている」と明
らかにした。その上で、17日以降で調整している鳩山首相の沖縄再訪問
時を念頭に「沖縄県知事に示して納得していただく」と述べた。一部訓練
青森県の米軍三沢基地に移転している嘉手納基地についても「本土の方
へ訓練をどんどん出す」として、さらに分散移転を進める考えを示した。

 

普天間基地の移設問題が迷走した結果、すでに鳩山政権の面子を如何に守
るかの問題になりつつあるようだ。移設がいつの間にか、飛行訓練の分散
移転の話になっており、当然移転先の自治体を納得させるには、それなり
の時間も必要となるだろう。本当に実行するつもりがあるのなら、このよ
うな場当たり的な対応をすべきではない。それが分かっていても、事実上
沖縄・徳之島からは門前払いをされたことで、他の部分の軽減措置で譲歩
を引き出そうとするしかないのだろう。政府関係者は「訓練を沖縄県外に
出すことを米側にある程度のんでもらえれば、それは一つの政治的決着だ」
とし、訓練移転で米側と調整がつけば「5月末決着」とみなす意向、との
馬鹿げたことを口にしてようだが、出来なかったことを適当に取り繕った
だけではないか。5月末まで残された時間は少ない、鳩山政権にとって最
大の山場を迎えたようだ。