社民党山内徳信参院議員と服部良一衆院議員が10日午前、首相官邸
開かれた米軍普天間飛行場移設問題の関係閣僚会議に合わせ、官邸前交差
点の歩道で、県内移設反対を訴え、演説を行った。連立政権を組む与党議
員が官邸前で鳩山由紀夫首相らを公然と批判するのは極めて異例の事態だ。
山内氏は「辺野古くい打ち工法反対 首相、『国外・県外』への公約守れ」
と書かれた横断幕を掲げ、「県外・国外と言ったのは誰だったのか。国家
が人をいじめ犠牲にしていいという法律はない」と訴えた。さらに「沖縄
県民をその気にさせておいて、米国と交渉する気概も気迫もない。もはや
狂気の沙汰だ」と政府を激しく批判した。演説中、山内氏らは関係閣僚会
議のため官邸入りする北沢俊美防衛相の公用車に「くい打ち反対、くい打
ち反対」と叫び、キャンプ・シュワブ沿岸部沖合の「浅瀬案」など県内移
設案が政府案として話し合われることを牽制した。

 

鳩山首相普天間基地の移設問題を5月末決着とぶち上げていたわけだが、
「決着」の定義を修正しようとしているようだ。鳩山首相は「5月末は、
私が国民に申し上げているから変えるつもりはない。みんなで『これでい
こう』という方向を必ず出したい」と発言し、移設の合意を得ることでは
無く、方向性の確認にすり替えてしまった。このような発言をすれば、今
までの政権なら大問題になっていたはずだが、発言にブレが目立つ鳩山首
相だけに「またか」の一言で片付けられてしまいそうだ。連立からの離脱
が取り沙汰される社民党も、敢えて鳩山政権を批判するポーズを取ること
で、安易な結論を出さないよう牽制したのだろう。社民党は連立から離脱
したところで、消えて無くなりそうな党勢が回復するわけもなく、連立の
枠組みにいなければ、参院選を戦い抜けないだろう。このような足の引っ
張り合いを続けているようでは、鳩山政権において普天間基地の移設問題
について、方向性を見出すことは難しいのではなかろうか。