米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、12日にワシントンで行われた日米
審議官級協議でキャンプ・シュワブ沿岸部沖合に、くい打ち桟橋方式で代
替施設を建設する日本側の提案に対し、米側が正式に反対する考えを伝え
ていたことが明らかになった。外交ルートで政府案が正式に拒否されたの
が確認されたのは初めて。昨年の政権発足以来、8カ月間にわたって進め
られてきた移設見直しは振り出しに戻らざるを得ない状況だ。日米関係筋
によると、事前の非公式協議でQIPに反対する米側の意向はたびたび伝
えられていた。しかし、国外や県外への移転ではなく、「(シュワブ沿岸
部を埋め立てるとした)現行案に近い場所への移設なら、QIPについて
も米側の理解を得やすい」と判断。12日の協議で米側への正式提案に踏
み切った。これに対し米側は、海中からのテロ攻撃だけではなく、QIP
だと埋め立てに比べて上空からのミサイル攻撃に弱く、反撃態勢をとるま
での復旧作業が困難であることを主な理由に挙げて反対した。

 

そもそも政府の試算ではくい打ち桟橋方式とする場合、工期は7年、建設
費は現行案の1・5倍かかるとされる。総工費約4000億円とされる現
行案を「金がかかりすぎる」と否定してきたのは何だったのか。政府案を
米国が拒否したことで、鳩山政権が進めてきた移設の見直しは振り出しに
戻ってしまった。だが、これは当初から予想出来たことで、現実を直視し
ないまま国外や県外への移設を模索し、時間だけが経過してしまった。問
題なのは、政府案が拒否されたので、では現行案に立ち戻ろう、と思って
沖縄県キャンプ・シュワブのある名護市は受け入れ反対に大きく傾い
てしまっている。つまり八方ふさがりなのが現状だが、このままでは普天
間基地の移設そのものが頓挫しかねない。鳩山首相はこの状況をどう打開
するのか、腹案が何だったのかは分からないが、打開策を持っているのな
ら、そろそろ出して欲しいものだ。