自民党青木幹雄参院議員会長が、体調不良を理由に夏の参院選島根選
挙区への出馬を断念し、政界から引退する意向を固めた。自民党島根県
が15日、明らかにした。10年以上にわたり「参院のドン」として君臨
した青木氏の引退は自民党型派閥政治の終焉を象徴しており、世代交代は
さらに加速しそうだ。県連幹部らによると、青木氏は13日、島根県内で
ミニ集会中に突然ろれつが回らなくなり、出雲市内の病院に入院、軽い脳
梗塞と診断された。青木氏は14日夕、病院で県連幹部に「体力的に参院
選を戦う自信がない。残念だけど無理だわな…」と出馬を断念する旨を伝
えたという。15日午前に松江市内で開かれた事務所開きでは、青木氏に
代わり、長男で秘書の一彦氏が「これ以上戦い続けることは皆さんにご迷
惑をかけることになるので断念した。おわび申し上げたい」と語った。後
継候補について一彦氏は「私は何も言う立場にない」と述べたが、県連は
一彦氏を擁立する方向で最終調整に入った。

 

参院のドンとして一時代を築いた青木氏も、病気には勝てず引退に追い込
まれた。参院自民党に強い影響力を持つ青木氏の引退は、世代交代を加速
させると言う意味では前向きにとらえるべきだろう。島根県連副会長の細
田博之前自民党幹事長は「白紙だが、勝てる候補の一点に尽きる。早いほ
うがいい」とするものの、難しいのは後継として青木氏の長男を立てると
世襲批判にさらされることとなる。かと言って全くの新人を立てるには、
時間的余裕も無く、選挙区に浸透させるのは容易では無い。おそらく長男
が擁立されることになるのだろうが、参院のドンを失った自民党にとって
支柱を誰にするのか、課題は多い。民主党政権交代の勢いを失い、参院
単独過半数獲得は難しくなり、相対的に自民党議席を増やす可能性は
上がってきている。全盛期の小泉元首相でさえ、参院参院として青木氏
に任せていた。参院のドンの影響力はそれだけ大きかったと言うことだ。