政府・民主党参院選マニフェストを検討する企画委員会は21日、原案
を固めた。昨年の衆院選で掲げたマニフェストに加え「財政健全化」や「
成長戦略」などの項目を新たに加えたが、焦点の消費税増税を明記するか
どうかは鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長が出席する政権公約会議に判断
を委ねる方向となった。原案では衆院選マニフェストに掲げた▽無駄遣い
排除▽子育て・教育▽年金・医療▽地域主権▽雇用・経済の5項目に加え、
「政治改革」「外交・安全保障」「財政健全化」「成長戦略」の4項目を
加えた。子ども手当の支給額については現行の月1万3000円から「上
積みする」との表現にとどめ、同党が衆院選で掲げた11年度以降の満額
支給の明記は避けた。議員定数の削減については「衆院80、参院40程
度」と明記。企業団体献金とパーティー券購入の禁止も盛り込んだ。財政
健全化を巡っては企画委は「11年度の予算編成は10年度の新規国債
行額を上回らないことをベースとする」との方針を確認した。しかし、消
費税については「次期衆院選後に税制抜本改革を行う」との方向性は一致
したものの、「消費税増税」を明記するかは結論が出ていない。

 

昨年の衆院選で掲げたマニフェストはいったい何だったのか、1年も経た
ないうちに公約が修正されるようでは話にならない。追い風を受けた上に
バラ色のマニフェストを掲げて戦えた衆院選と違い、強い逆風が吹く中で
改選を迎える参院議員からは「消費税増税を明記すれば選挙は不利になる」
と不満の声が上がり始めているようだ。目玉であったはずの暫定税率の廃
止も、財源不足から早々に諦めてしまい、高速道路の原則無料化も地方の
一部高速道路・自動車専用道路で「社会実験」を行っている段階に留まる。
また、子ども手当についても現行の月1万3000円の倍額を実現するの
は難しいようだ。これらの政策を実現するための財源はどうするのか、何
度も指摘を受けていたはずだが、いざ政権を奪取したら後は好き放題にや
って良いとでも思っているのか。むろん、その審判が下るのが参院選であ
る。民主党内も決して一枚岩では無く、「ポスト鳩山」に向けて動き出し
ている閣僚もおり、参院選の結果次第で今回のマニフェストも修正される
こととなりそうだ。