鳩山由紀夫首相は23日、沖縄県を訪問し、米軍普天間飛行場移設問題を
めぐって仲井真弘多知事、稲嶺進名護市長ら関係者と相次いで会談した。
首相は名護市辺野古周辺に移設する方針を初めて正式表明。米ヘリ部隊訓
練などの基地機能を極力、県外に移す考えも伝え、「県外移設」の約束が
果たせなかったことを陳謝した。これに対し、地元や連立与党の社民党
強く反発しており、移設実現は展望が開けない状況だ。首相が表明した移
設先は、代替滑走路の建設地や工法などの詰めは残るものの、米軍キャン
プ・シュワブ沿岸部に移す現行計画に沿った内容。昨年の衆院選での「県
外移設」の約束をほごにし、現行計画に戻ったことで、首相の政治責任
厳しく問われそうだ。

 

最低でも県外との掛け声は文字通りスローガンで終わってしまったようだ。
鳩山首相は仲井真知事との会談で「代替地は県内、辺野古付近にお願いせ
ざるを得ないとの結論に至った。断腸の思いで下した結論だ」と表明し「
在日米軍の抑止力を低下させてはならない。県外に移設すると、海兵隊
機能を大幅に損なってしまう」と理解を求めたわけだが、そんなことは今
さら言うべきことではないだろう。また、鳩山首相は「米軍の訓練をでき
る限り県外に移し、沖縄の負担軽減と危険性除去の実を上げることが大事
だ」とし、27日の全国知事会議で協力要請すると強調し、負担軽減につ
いては検討していくとした。だが、これだけこじれた普天間基地の移設が
すんなり辺野古で片付くものなのか。どう沖縄県や名護市を納得させるの
か、それを示すべきであろう。燎原の火の如く広がった沖縄の反発を消す
ことは可能なのか、鳩山首相の覚悟が問われている。