鳩山由紀夫首相の退陣表明を受けて民主党は、後継を選ぶ党代表選を4日に
実施し、7日に国会での首相指名選挙を経て国民新党との連立政権を維持す
る方針だ。代表選には複数の候補が立候補する可能性があるが、菅直人副総
理・財務相が「ポスト鳩山」として最有力の情勢となっている。菅氏は2日
午前、国会内で記者団から「代表選に出馬するのか」と問われたが、無言で
車に乗り込み、国会を後にした。複数の閣僚や党幹部らからは「菅氏が出る。
緊急事態だから、副総理が昇格するのが自然だ」との声が出ている。菅氏が
出馬すれば、代表選で勝利する可能性が高い。菅氏の対抗馬としては、前原
誠司国土交通相仙谷由人国家戦略相、枝野幸男行政刷新相、岡田克也外相
らの名前が取りざたされている。党内の関心は、「次期代表=次期首相」と
ともに、小沢氏が党の最高実力者の立場を維持するかどうかにも向いている。

 

鳩山首相は「日本の政治の歴史は大きく変わった。国民の皆さんの判断は間
違っていなかったと確信している」「皆さん方と協力して国民が主役の政治
を作ろうと今日まで頑張ってきたつもり」との言葉を残していった。民主党
にとって、このタイミングでの辞任が最善だったのかは微妙なところであろ
う。昨日行われた3者会談の後、鳩山首相は続投の意思を固めたかに見えた
が、小沢幹事長の辞任と引き換えに退陣したのか。民主党のナンバー1とナ
ンバー2が「政治とカネ」の問題に塗れ、かつての民主党のクリーンなイメ
ージは地に落ちた。その二人が辞任することで、民主党は刷新されると思っ
たのなら、甘いと言わざるを得ない。政権投げ出しの事実は消えず、批判し
てきた政権のたらい回しを自らも行うことになる。今のままでいけば、菅副
総理が昇格することで落ち着くのだろうが、代表選を盛り上げると言う意味
で他の候補も出馬してくるだろう。より気になるには、民主党内を仕切って
きた小沢幹事長が辞任したことで、後任の幹事長として誰を置くか。そして、
小沢幹事長の処遇はどうなるか。民主党にとって最大の危機が訪れた。