菅新首相は内閣・党役員人事で小沢幹事長と距離を置く議員を要職に充て
る方針だ。「脱小沢」の動きに対し、党内では警戒や反発も広がっている。
4日、国会から民主党本部まで慌ただしく動き回った菅氏は、その日程の
合間を縫うように、官房長官への起用が固まった仙谷国家戦略相、党幹事
長に内定した枝野行政刷新相との3人での会談を重ねた。「完全に3人で
やっている。何も入ってこない」中堅議員は、人事や党運営の情報が漏れ
てこないことを恨めしそうに嘆いた。菅氏は「人事は白紙」と強調、週明
けに先送りしたが、3日夜には東京都内のホテルで仙谷、枝野両氏とひそ
かに会談、「腹案」を伝えていた。3氏による事実上の「組閣本部」は既
に始動していたのだ。

 

菅氏は代表に選出された際に「ノーサイド」との言葉を口にしていたが、
それとは裏腹に小沢幹事長の影響力を可能な限り削ごうとしているようだ。
党内が結束すべき、といくら掛け声を上げても、人数の上では強大な小沢
グループは、反小沢派にとっては脅威そのものである。組閣や党の人事を
一気に決めてしまうことで、小沢色を払拭する狙いは成功するのだろうか。
抜群の資金力を誇る小沢幹事長とは言え、権限を失ってしまえば、復活の
芽は限りなく少なくなることを考えると、そうならないように手を打って
くると思うのが当然である。小沢グループの雑音を封じながら、どう小沢
幹事長の処遇を決めるか。早くも菅新首相の指導力が問われている。