菅首相は18日夜、消費税率を「当面10%」に引き上げた場合の使途につ
いて、「高齢者にかかる福祉の費用を、新しい税率の消費税でほぼ賄えるよ
うになる」と述べ、国の予算総則で消費税の使い道と決めている基礎年金、
高齢者医療、介護の3分野を中心とする考えを示した。首相は、現行税率の
5%ではこの3分野の必要額に約10兆円不足していることを指摘、「毎年、
自然増や社会保障の強化で増えていく。それを念頭に入れると、この程度の
財源が必要になる。自民党の資料も見たが、ほぼ同じような考え方だ」と語
った。自民党も、3分野に充てる国の消費税収入不足分や新規の社会保障
付、少子化対策などの財源として約12兆円が必要だとして、税率を「当面
10%」に引き上げるとしている。これに関連し、仙谷官房長官は行政刷新
会議などによるムダ削減の余地について「あとせいぜい2兆円も切れればい
いところだ」と指摘し消費税率引き上げによる財源確保の必要性を強調した。

 

改選を控える参院議員にとって、このタイミングでの増税を議論されては困
るだろうが、果たして菅首相の狙いは何か。菅首相の「当面の税率は自民党
が掲げている10%を1つの参考にしたいと考えている」との発言にその狙
いの一端が伺える。自民党マニフェストで、引き上げ後の税率を「当面1
0%」と明記して、10%とする根拠も示した。一方の民主党は、マニフェ
ストには明記していないが、菅首相が10%と具体的な数字を上げたことで
注目が集まっている。自民党の石破政調会長は「子ども手当や高速道路無料
化など、選挙目当ての政策を今後どうするのか語らないままなら、『抱きつ
きお化け』のようで無責任だ」と批判したわけだが、この10%の部分がキ
ーになるのではないか。菅首相がぶち上げた財政再建のための超党派会議は、
野党から反発を受け今のところ実現の見込みが無い。菅政権が財政再建に本
格的に乗り出した際に、野党、少なくとも最大野党の自民党を引き込んで、
二大政党による挙国体制と言う名分を必要とするのではなかろうか。