政府が策定中の国家公務員の出向や再就職の指針などを盛り込んだ「国家公
務員退職管理基本方針」の全容が21日、明らかになった。近く閣議決定
る。原案によると、官庁人事の停滞回避や、公共部門での知見の活用を根拠
に、独立行政法人などに公務員が出向する「現役の天下り」を容認。次官や
局長レースに敗れた高級幹部の受け皿として上級の「専門スタッフ職」を新
設するなど公務員に手厚い内容となっている。政府関係者は「公務員に定年
まで能力を発揮してもらうため」と説明。退職後の官僚OBが特殊法人や独
法などに天下りを重ねる「渡り」などとは違う点を強調する。しかし、民主
党は昨夏の衆院選マニフェストなどで官僚の天下り根絶など公務員制度改革
をアピール。官僚OBの天下りに加え、各省庁の既得権の温存などにつなが
りかねない現役官僚の政府系機関への出向なども厳しく制限する方針を示し
てきた。それだけに、従来の改革姿勢に逆行するような菅政権の「基本方針」
に批判も出そうだ。

 

天下りの根絶どころか、まるで推奨しているかのような菅政権の基本方針に、
批判は必至であろう。天下りを無くすと人件費が増えると言われているが、
そもそも天下り根絶と給与体系の改定は同時に行わなければ意味が無い。出
世競争に負けた高級幹部を「専門スタッフ職」に据えるにしても、次官、局
長相当の給与にしかねないのだ。公務員制度改革をアピールしておきながら、
事実上公務員側に与しているのは明らかである。改革どころか「現役の天下
り」そのものである独立行政法人などへの出向を容認したのも、その証左で
あろう。公務員に定年まで能力を発揮してもらうため、とは言うものの非常
に苦しい言い訳に聞こえる。なぜ、改革姿勢に逆行するような方針を取ろう
とするのか。昨年の衆院選マニフェストでアピールした公務員制度改革
何だったのか。いざ政権を取ってみたら、官僚の抵抗が激しくて出来ません
でした、では笑えない。