[政治]

参院選の序盤情勢調査で民主党の失速が明らかになり、楽観ムードだった民
主党から悲鳴が上がった。菅直人首相の消費税率引き上げ発言に対する世論
の反発は広がっており、「黙っていてもらう」はずだった民主党小沢一郎
前幹事長の「心配」が的中する皮肉な展開となっている。「参院選民主党
が勝っても皆さんが消費税を上げることを認めたとは思っていない。参院選
ではなく、衆議院の解散で国民に信を問うべきだ」鳩山由紀夫前首相は26
日、鳥取県倉吉市で講演し、小沢氏に続いて消費税増税の動きを牽制した。
小沢氏に近い細野豪志民主党幹事長代理も26日の民放番組で「7%から1
0%という可能性ももちろんある。10%と決め打ちしているわけでもない」
と述べ、税率を柔軟に設定する可能性に触れた。

 

菅政権発足の勢いからすれば、単独過半数はともかくとして、与党での過半
数維持は可能だっただろう。しかし、菅首相がぶち上げた消費税率10%引
き上げ案によって、その空気は一変することになった。小沢前幹事長は「3
年前の参院選も去年の衆院選も、すぐ消費税を増税することはしないと主張
した。私は変わっていない」と批判し、そして鳩山前首相も同様の発言をし
菅首相を牽制している。辞任して支持率を引き上げたと言うのに、との恨
み節が聞こえてきそうだが、果たして菅政権は消費税率引き上げに真正面か
ら取り組むことが出来るか。参院選を乗り切っても9月の民主党代表選では
消費税率の引き上げの是非が争点となるかもしれない。その時に小沢グルー
プが税率維持を旗印に立ち上がる、そんな展開も十分に考えられるだろう。