菅首相は27日夜、トロントオバマ米大統領と就任後初めて約50分間会
談した。両首脳は、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題について、移設先を
同県名護市辺野古とした5月の日米合意を着実に実施し、沖縄の負担軽減に
努力することで一致した。今年が改定日米安全保障条約発効から50年にあ
たることを踏まえ、日米同盟深化の議論を加速することも確認した。普天間
問題をめぐって鳩山前政権下で揺らいだ日米関係は、修復に向けて動き出し
た。ただ、日米合意は「8月末」までに代替施設の工法などを決めるとして
おり、沖縄の同意がない現状では、菅首相にとって難しい局面が続く。会談
で、首相は「日米合意に基づき、実現に向けて真剣に取り組んでいきたい。
沖縄の負担軽減のために協力をお願いしたい」と表明した。大統領は「日本
政府にとって簡単でないことは理解している。米軍が地域で受け入れられる
存在であるよう努力していきたい」と応じた。

 

鳩山政権が普天間基地の移設問題で迷走したことで、日米関係も大きく傷付
いた。オバマ大統領には「トラストミー」と大言を吐き、国内には「腹案が
ある」と言い放ち、結局は現行案に立ち戻ると言う最悪の結論に至ってしま
った。これの何が問題かと言えば、移設反対派が勢いを付けたことで、移設
そのものが困難な状況となってしまったことだ。鳩山前首相や菅首相は沖縄
の基地負担を軽減することで、これを実現したいのだろうが、基地負担を引
き受ける自治体が名乗りを上げるとは考えにくい。さらに、8月末までに代
替施設の具体的な工法を決めなくてはならず、鳩山政権が倒れようとも苦し
い状況なのは何も変わっていない。「日本政府にとって簡単でないことは理
解している。米軍が地域で受け入れられる存在であるよう努力していきたい」
と語ったオバマ大統領にとって、まずは菅首相のお手並み拝見と言ったとこ
ろではなかろうか。