[政治]

民主党が実現を目指す永住外国人への地方参政権付与法案、選択的夫婦別姓
を可能にする民法改正案、人権侵害救済機関設置法案の3法案が、参院選
争点にならないまま着々と準備されている。民主党は、国論を二分するこれ
ら3法案を参院選マニフェストに記載していない。その一方で、菅直人首相
や関係閣僚は推進派として知られており、自治労など民主党の有力支持団体
は強く成立を求めている。秋の臨時国会以降に順次法案成立を図ってくる公
算が大きい。3法案は「日本解体を目指している」と保守勢力の反発が根強
い。いずれも家族、伝統、文化など日本社会を根底から変容させかねないか
らだ。民主党は3法案が参院選で争点化し、保守層の「民主離れ」を招かな
いように参院選マニフェストの記載を見送った。毎年3法案を明記してきた
政策集「INDEX」も「参院選前なので時期がまずい」と作成しなかった。

 

喫緊の課題でも無いような法案の成立を目指す、民主党の姿勢には疑問を持
つ。そんなに成立をさせたいのなら、なぜマニフェストに記載しないのか。
千葉法相は記者会見で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案と人権侵害
救済機関設置法案が民主党参院選マニフェストに記載されていないことに
ついて「マニフェストに載っていない、あるいはテーマになっていないこと
が特段問題になることはない」と、あくまで成立を目指す考えを示している。
これらの法案は民主党の最大の支持団体である連合と傘下の自治労日教組
が推進や法律制定を強く要請しており、それに応える形で民主党は成立させ
ようとしているのだろう。菅首相がぶち上げた消費税率の引き上げ論議に時
間を費やすのならともかく、国民の理解を得ようともしないで、これらの法
案を通そうとする意図は何なのか。そもそも、極めて優先順位に低い法案で
あり、廃案になった重要法案の山を片付けるのが先決であろう。菅首相の考
えを聞きたいものだ。