鳩山由紀夫前首相が2日夜、約1年ぶりに地元の北海道室蘭市に入った。鳩
山由紀夫総連合後援会の斎藤修弥会長の叙勲祝賀会に出席するための地元入
りで、約1時間後には会場を去って東京にとんぼ返りする慌ただしさ。「政
治とカネ」の問題や、次期衆院選への自身の不出馬表明に関する説明や、参
院選での民主党候補の支援要請はなかったという。祝賀会のあいさつで、鳩
山前首相は斎藤会長への謝意に時間を割き、自身については「皆さんの期待
に十分にこたえられなかったのは不徳の致すところ」と述べる程度だった。
会合に参加した上田茂・同会元会長は「鳩山さんが主役ではないので、自身
に関する発言が、ほとんどないのは当たり前。『孤独だった』としんみり私
に語ったのが印象的だった」と語った。

 

鳩山前首相は次期衆院選への不出馬を発表しており、このまま表舞台から去
ろうとしているのだろう。この先の生活にも何ら苦労しないであろうし、リ
タイアしてしまいたいと考えるのも無理は無い。だが、地元からは「参院選
が終われば、再び本人に地元入りしてもらい、首相辞任や衆院選不出馬に至
った経緯を支援者に説明してもらいたい」との声が上がっているように、政
権投げ出しの批判は続くことだろう。政権交代と言う熱狂をもたらし、そし
て迷走し続けた鳩山政権を歴史はどう評価するか。政治とカネの問題では、
鳩山家の浮世離れした実態が白日の下にさらされ、ギリギリのところで逃げ
切った印象すら与えた。もはや政治家としての再起は難しい状況であり、こ
のまま隠棲してもらった方が、民主党にとっても好ましいのではないか。選
挙の応援に来てもらっても逆効果になりかねないのだから。