[政治]

政府は閣内の政策調整を担ってきた国家戦略室の機能を縮小し、首相に政策
提言や情報提供を行う「助言機関」とする方針を固めた。戦略室は昨年9月
民主党政権誕生の際、「政治主導」と官邸機能強化の象徴として鳴り物入
りで発足したが、閣内調整を本来の業務とする官房長官との役割の重複が指
摘されていた。予算編成の調整にも戦略室は関与せず、仙谷由人官房長官
集約される。仙谷氏は15日の会見で、国家戦略室の役割について「再定義
し、政策調整はやらずシンクタンク機能に重点を置く」と述べた。戦略室は
鳩山由紀夫前首相の発案による組織で、09年衆院選民主党マニフェスト
で「予算の骨格を策定する」とされた「国家戦略局」構想に基づき、担務は
「税財政の骨格、経済財政運営などの内閣の基本方針の企画、立案、総合調
整」。初代担当相は副総理だった菅直人首相、2代目は仙谷氏という重量級
閣僚が配された。

 

民主党の政治主導の柱であったはずの国家戦略局構想だが、国家戦略室長の
平岡内閣府副大臣の「戦略室は首相の知恵袋の役割を果たす。各省調整の役
割もなくなる」との言葉にあるように、単なる助言機関へと大きく変貌する
こととなった。もともと国家戦略局は「税財政の骨格、経済財政運営などの
内閣の基本方針の企画、立案、総合調整」を担うとされてきたものの、他の
省庁の大臣と仕事が重なる部分も多く、位置付けが当初より曖昧であった。
参院選民主党が大敗したことで、現在の国家戦略室を局に格上げする法案
成立が難しくなったこともあり、今回の方針を固めたのだろうが、それでは
政治主導の柱をどこに置くのか。国家戦略局があって、初めて機能するもの
ではなかったのか。それとも、そんな組織は必要がなかったのか。その辺が
曖昧なまま、国家戦略局構想は消え去ろうとしている。