日米両政府は22日、在日米軍駐留経費の日本側負担の見直しに関する協議
を都内でスタートさせた。2011年度予算案に関連経費を計上するために
は、12月までに米側と新協定で合意する必要がある。日本側が削減を目指
すのに対し、米側は増額を求めており、協議は難航必至だ。現行協定は来年
3月に期限切れとなる。10年度の思いやり予算は、労務費1140億円、
光熱水費249億円など計1881億円。民主党政権は昨年秋の事業仕分け
で、基地従業員の給与を「見直し」と判定しており、労務費の扱いが焦点だ。
ただ、米側もアフガニスタンでの戦費の増大などで財政事情は厳しさを増し
ており、歩み寄りは容易ではない。米軍普天間飛行場移設問題で日米両政府
は5月に、名護市辺野古に代替滑走路を建設し、工法など詳細を8月中に決
めることで合意しているが、地元沖縄の反発で同月中の詳細決定は困難な状
況。こうした中、思いやり予算の扱いによっては、日米関係が再びぎくしゃ
くしかねない。 

 

いわゆる思いやり予算は95年をピークに減少傾向にあり、国家財政が逼迫
する中で、さらなる削減が求められていた。駐留費の負担がゼロになること
は無いにしても、本当に必要な分だけを負担する形にするのが望ましいだろ
う。娯楽施設の建設費や冷暖房の光熱費にまで、税金が投入されているのは、
国民感情からすれば違和感を憶えるのではなかろうか。ここで気になるのは、
鳩山前政権で大きく損なった日米関係を修復する意味から、菅政権が思いや
り予算の増額を飲んでしまうことだ。昨年の事業仕分けでは、基地従業員の
給与を「見直し」と判定したものの、その後、普天間基地の移設問題が迷走
したことで、日米関係は大きく損なわれてしまった。結局、現行案に回帰し
たとは言え、沖縄県民の反基地感情を強めてしまい、移設だけでなく沖縄に
おける基地に焦点が当たろうとしている。果たして菅政権は思いやり予算
どう扱うのか、注目すべきポイントだろう。